瑞光窯の歴史

京焼・清水焼のはじまり

京焼・清水焼のはじまり

京焼とは、京都市内の各地でつくられる焼物の総称。
そのうち、主に五条坂に窯を持つ焼物が、清水焼と呼ばれています。

京焼の起源は諸説ありますが、
その歴史は古く、一説には古墳時代から土器を製造していたともいわれています。
また、清水寺に続く茶碗坂は、奈良時代に僧行基が清閑寺(東山区清閑寺)に窯を築いたことから、その名がつきました。この通りは、京焼・清水焼発祥の地ともいわれ、京焼の歴史の長さを物語っています。

室町時代になると、中国の王朝だった明(みん)から色絵陶器が伝えられ、色絵陶器が誕生。
さらに、江戸時代には、茶道の流行を背景に多くの作品が作られるようになりました。
京焼・清水焼の大成者ともいわれる野々村仁清が登場したのも、江戸時代のことです。
仁清は錦手の秘法で非常に美しい茶器を完成させ、清水焼の歴史に大きな影響を与えました。
その後も、仁清から手ほどきを受けた尾形乾山が、独自の意匠性で京焼独特の様式美を確立するなど、清水焼は、数々の名工を輩出。その名は全国に広がっていきました。

瑞光窯の開窯

瑞光窯の開窯

初代清水六兵衛は、江戸時代中期の1738年に大阪の農家で生まれました。10代で京都・五条坂の海老屋清兵衛から陶業を学び、1771年に六兵衛窯を開窯。これが、瑞光窯の歴史のはじまりとなります。

1818年には二代清水六兵衛の長男が、清水七兵衛と名乗り分家。そして1867年には、二代清水七兵衛の二男が養子に入り、初代土谷瑞光を名乗ります。土谷としての瑞光窯の誕生です。

二代土谷瑞光(菊次郎)は、1928年に工房を五条坂から今熊野へ移し、登り窯を築き上げました。当時は、窯を所有する者だけが“窯元”を名乗れる時代。登り窯の開窯により、土谷の瑞光窯は、本来の“窯元”へ。初代土谷瑞光の夢でもあった念願を果たしました。

進化する工房

三代土谷瑞光(稔)の代には、時代に応じた窯への大きな転換期を迎えます。1969年に施行された大気汚染防止法により、登り窯の煤煙が問題視されるようになったからです。

この問題を受け三代土谷瑞光(稔)は、登り窯と工房を取り壊し、新しい工房の形を模索します。そうして、今熊野の工房に、普遍的な機能が備えられた画期的な窯が登場しました。この形式は、現在にいたるまで使用され続けています。

また、窯の様式が登り窯から電気炉へ、そしてガス炉へ変遷していく中、京都で初めてガス炉を導入したのも、瑞光窯でした。これまでの常識にとらわれない工房の改革は、その後、京都中の窯元に普及していきました。

伝統を未来にひらく

伝統を未来にひらく

かつての京焼・清水焼は、高級料亭などで扱われ、一部の富裕層だけがふれることのできる、非常に高価なものでした。しかし、伝統工芸の継承が危ぶまれる現代。一人でも多くの人に、清水焼の器を使う感動を伝えることが重要だと、私たちは考えています。

その想いから、1996年より陶芸教室を開校。これまでに、約300名もの生徒を輩出しました。また、工房内で陶芸体験では、年間1万人以上の国内外のお客様が、陶芸の魅力に触れてくださっています。素晴らしい歴史と伝統を誇る京都。寺社仏閣や伝統工芸、京料理、京ことばーー。そんな京都の魅力とともに、京焼・清水焼を伝えていければ、と思っています。

清水焼をより身近に体感していただくことで、伝統を後世に伝えつづけること。受け継いだものを、次の代に渡しつづけること。その先に、本物といわれる価値があると信じます。これからも、陶芸体験で多くの人に笑顔と感動を届け、人々の暮らしに溶け込む、美しい器をつくり続けたい。瑞光窯は、すべての人々にひらかれた窯元でありつづけたいと願います。

京焼と瑞光窯

歴史

1738~1799 初代 清水六兵衛(栗太郎)

1771年 京都・五条坂に開窯

1790~1860 二代 清水六兵衛(正次郎)

1818~1891 初代 清水七兵衛(竹次郎)

二代清水六兵衛の長男

1843~1918 二代 清水七兵衛(竹次郎)

二代清水六兵衛の長男

1867~1918 初代 土谷瑞光(光三郎)

二代清水七兵衛の二男

1898~1978 二代 土谷瑞光(菊次郎)

初代土谷瑞光の長男
1928年 五条坂から今熊野に移り、登り窯を開窯

1928~ 三代 土谷瑞光(稔)

二代土谷瑞光の二男
1977年 京焼・清水焼伝統工芸士に認定

1958~ 四代 土谷瑞光(誠)

三代土谷瑞光の長男

1959~ 五代 土谷瑞光(徹)

三代土谷瑞光の二男
瑞光窯 代表取締役会長

1988~ 六代 土谷瑞光(聡)

五代土谷瑞光の長男
瑞光窯 代表取締役社長

土谷 稔

1928年京都市生。京都工業専門学校(現、京都工芸繊維大学)窯業科卒業、1950年、同志社大学経済学部を卒業後、父・二代瑞光に師事。染付をはじめ、青磁釉、辰砂、抹透釉、油滴天目釉、三釉等、釉薬全般にわたり研究。また、工房の改革、築窯の新例の考案、成型法、焼成法の工夫に力を注ぐ。

  • ・1977年 京焼・清水焼伝統工芸士に認定
  • ・1990年 京焼・清水焼展 最高賞
  • ・2009年 瑞宝単光章 叙勲

土谷 徹

天目・青磁器の釉薬、色呉須、上絵具などを研究し、特に柔らかな色彩の陶器と、ガラスに上絵付けを施した作品が好評。近年は無鉛・耐酸釉薬や無鉛・耐酸絵の具の研究を行い、人に優しい色絵磁器や楽焼にも取り組むなど、技術開発を得意とする。

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